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2007年6月23日 (土)

東北本線架線切断事故原因発表

今朝の新聞報道で東北本線架線切断事故の原因がセクション内停止と報道された。
一般には高崎線、宇都宮線、湘南新宿ライン停電事故として報道されているようだ。
手元の読売新聞では、エアセクションはなんなのかという説明を混ぜた記事で、一般の人にも比較的分かりやすくしようという努力がかいま見られる記事で好感が持てる。
だが、地方版のページに行って「異常電流が原因」と、明らかに理解しないで書いた記事を発見。なんじゃそりゃ。

セクション内停止とはなんなのか。
電車には電気を架線(架空電車線)から供給している。電車には菱形のパンタグラフがついており、架線をパンタグラフがこすって給電する仕組みである。
一方、架線に電気を送っているのは変電所である。変電所は沿線に何カ所もあり、それぞれの変電所の給電範囲は決まっている。
架線を電気的に全部つないでしまうと、一箇所で事故停電を起こしたときに全線が停電してしまう。工事停電も容易ではなくなる。
そこで、「セクション」と呼ぶ切れ目を設けている。
その一種がエアセクションである。
エアセクションには変電所Aから伸びてきている架線と変電所Bから伸びてきている架線が横に並んでいる。
エアセクションを通過するときは、パンタグラフが両方の架線をこすっている。
電車の通過時に観察しているとわかるのだが、架線は上下によく振れる。だから走行中は火花が飛んでいる。
エアセクションでは、この火花が出やすい。
二つの架線は電圧が違う。架線A~パンタグラフ~架線Bと電気が流れることもある。しかも上下に振れやすいのだから、火花が飛びやすい。
火花が飛ぶ時、架線(主に銅)は高熱になる。ずっと火花を飛ばしていると溶けてしまう。
だが、普通は溶けたりしない。何故なら火花の発生点は常に移動しており、温度が上がる前に火花は次の所に移っているからである。
夜の新幹線など、バチバチと大量の火花を発して走っているがこれも高熱になる前に移動しているから大丈夫なのだ。
エアセクションは通常列車が止まらずに通過する。だから火花が出ても問題ない。
問題なのはここに止まってしまったときだ。

電車は動き出すときに大電流を消費する。
ましてエアセクションでは2本の架線があるため、パンタグラフと架線がついたり離れたりしている。
だから大きな火花が飛び、速度が遅いため火花が移動する前に架線が溶け出してしまう。
私も一度溶けるときのフィルムを見たことがあるが、金属が水飴のようになってボタボタと空から降ってくる様は衝撃であった。
架線はたるみ防止の為、重りやバネで引っ張っている。
だから架線が溶けて細くなってくると、引っ張り力に負けてちぎれてしまう。
このように架線が破断すると、数十メートル位飛んでいき、電車の屋根上の機械を鞭のようになぎ払って壊してしまったり、パンタグラフに絡みついて撤去を難しくしてしまう。

このため、セクション内に停止したときは絶対にそのまま動かしてはならない。
セクションから飛び出た箇所のパンタグラフをあげて、他は下ろして加速するといった手順が必要になる。

今回はその手順の実行を失念したのが原因で、人災と断じざるを得ない残念な事故である。
だが、単に運転士の過失に責を負わせるのでは、根本的解決にならない。
JR東日本は切れにくい架線を開発するという。
設備でバックアップして人災を防ぐ。鉄道業界が連綿と受け継いできた安全思想であり、正しいアプローチだ。
日本の、いや世界の鉄道のリーディングカンパニーたるJR東日本の対応を見守りたい。

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