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2013年11月10日 (日)

宗谷丘陵絶景なり

稚内市内のホテルで一泊し、防波堤ドームの向こうに登る朝日に感銘を受けて一日が始まります。
海の向こうに見える島影と灯台の明かりは樺太(現:サハリン)ではなかろうか。
かつては樺太航路が防波堤ドームの桟橋から出航していたわけで、見えるのも道理です。
今では桟橋からロシアへの国際航路が出ています。
日の出間もない早朝1番のバスで宗谷岬へ。乗客は15人程度で、ガラガラかと思ったら予想外。とはいえ、大半は観光客で地元の人は5人程度。
バスは稚内の市街地を抜け、やがて海岸沿いへ。
いやはや、驚きました。、海岸では海からモクモクと煙のような濃い霧が立ち上り、車内の女子大生が「なにあれ、温泉?」と声を上げるほど。
霧が発生する瞬間って、こうなんですねぇ。海の上だけが超音波加湿器の吹き出し口のような、不思議な光景でした。
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そういや、以前紀伊半島で川の上に煙がたなびいていると思ったら霧だったなぁ。あれも川の上だけが冷えていたんでしょう。
日が昇ってくると霧は無くなり、最果ての崖沿いをバスは進みます。車窓に時折鹿の姿をかいま見てざわめくバスは、宗谷の集落を越えて宗谷岬バス停へ。
宗谷岬といえば日本最北端の碑なのですが、悠長に眺めているいとまはありません。宗谷丘陵フットパス4時間コースを3時間半で走破しないとバスに間に合わないのです。
碑の背面を歩いて日本最北端に位置する人間としての一瞬を刻んだ後は、一目散に丘を上がります。
前回の来訪時は最北端の碑の周囲ばかりうろうろしていたのですが、なんと絶景哉!
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寒風吹きすさぶ宗谷丘陵には高木も生えず(火災で焼失後復元しないらしい)、氷周河地形の形状が手に取るように分かります。
広がる笹藪と牧草地が等高線のように入り組み、長年の風雪で形作られた谷間には風を避けるように低木が繁り、他ではなかなか見られない景色です。
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牧草地では肉牛がのんびりと草をはみ、駆け抜ける影を見たと思えばシカの群。
丘の稜線はなだらかに続き、かなたに利尻富士を仰げばこなたに樺太の島影が。
後に利尻島より異国たるサハリンの地の方が近くに位置することを知るのですが、すぐそこの海が国境なのだと思うと感慨深いものがあります。
丘から丘へを緩やかな曲線でつなぐ道を歩き、時折足を止めて360度の視界をぐるりと眺めると、なんと清々しく贅沢な光景が広がっていることか。
日本離れした独特の牧歌的光景があり、そこに酪農に携わる人々のなりわいが息づいているにもかかわらず、非日常的な景色に映ります。
歩みを進めればやがて風力発電が林立する発電所群の麓に道は続き、立入禁止の看板の下にフットパスは除くという但し書きを見つけてはこちらで良いのかと思いながら自衛隊のレーダーサイトの横を通り過ぎます。
道も半ばを過ぎると、今度は自分が先ほどまで歩いた道が向こうの丘の稜線に見え、はるばる歩いたなと実感するようになります。
足下も舗装路から貝殻を敷き詰めた白い道へ。海へ向かって一直線に落ちるかのような錯覚を受ける道に、ここを旅先に選んで良かったとの思いが強くなります。
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無我夢中で歩いて、気がつけばいつしか宗谷の集落に。バス停に着くと、なんと予定より1時間早い(笑)
タッチの差で一本前の稚内駅行バスは出発しており、時間調整のため宗谷岬行のバスに乗ることにします。
再び宗谷岬バス停で降りて、フットパスの道を上り、最初の丘の稜線まで上り詰めて景色を堪能。バス停までとって返し、当初予定の稚内行のバスに乗れば夢うつつ。
南稚内で降りて上り列車で豊富へと向かいます。
意外だったのが、南稚内から乗ってきた地元客と思しき人々。勇知駅で10人近くがぞろぞろと降りていき、何があるのだろうと首をかしげるばかり。

豊富で食事の後は、原生花園へバスで移動。
原生花園には「何もない景色」がありました。
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シーズンオフなので派手な花があるわけでもなく、湿原が延々と眼前に広がり、地平線の向こうに山々の尾根が遠望できるだけ。
ただそれだけなのですが、ずっと眺めていたい光景です。
丁度良い位置にベンチがあり、許されるのであればこのまま大の字になって眠りたいほど。せめてしばらく風にそよいでいようと座ってましたが、都会暮らしの憂さを忘れるには十分な景色でありました。
注意深く足下を観察すれば湿原特有のコケに覆われた泥炭地が広がっており、特殊な植生に目を見張ります。一方で湿原は年々乾燥化が進み笹藪の版図が広がりつつあるという現実もつきつけられ、そこには人間の営みが深く影響を及ぼしていることを知らされます。
湿原の景色、守りたいものです。
一日三本しかないバスの最終便で豊富に戻り、札幌行スーパー宗谷で帰途に。
短尺レールの上に強力エンジンを響かせて走るスピード感はJR北海道ならでは!名寄以南では130km/hの最高速度に酔いしれながら、一路南へと進むのでした。
この後は順調に一路東京へ。書きかけの日記をアップしないうちに、北海道新幹線開業後の寝台がどうなるかの見込みが報道されるようになりました。
乗れなかった「はまなす」は報道されてませんが、青函トンネルの保守間合いや車齢を考えると、だいたいの想像は付きます。
路線も車両もそうですが、乗れるうちに乗っておかないと無くなってしまうので、「いつか乗ろう」では後々ほぞを噛むことになるのです。

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