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2014年10月26日 - 2014年11月1日

2014年10月31日 (金)

嗚呼、立山黒部アルペンルート

黒部ダムに行きたかった。ずっとずっと行きたかった。
富山県側と長野県側を横断し、ケーブルカーにトロリーバス、未だに乗った事のない路線が存在する。日本全線全私鉄の走破に向けて、最大の難関になるのがここであろうと思っていた。

だが、思わぬ機会が訪れた。
一日自由な時間が出来、吾妻線を訪問すると決めていた翌日も旅行できることになった。
群馬県に行くなら、その足で富山まで行こう、新しくなった高岡駅に乗り入れる万葉線を見に行こうと決めた。(この辺で旅の選定としては既におかしいのだが)
富山県まで行くなら、帰り道に黒部ダムに寄ることも出来るのではないか、いや、いけるはずだ。
時刻表とにらめっこをして、なんとかなる、と判断した。

そんなわけで、八ッ場ダムに水没する吾妻線に乗り、その帰りに富山に宿泊した翌日からこの話がスタートする。

朝一番の列車で高岡まで行き、万葉線の付け替え区間に乗り、すぐ折り返して電鉄富山へ。
朝があまりに早かったので電車内では寝ていくことにして、目覚めれば立山まであと少し。廃駅跡を線路沿いに見つけたりして喜びつつ、立山到着。

さて、ここからが未踏の区間に。

まずはきっぷの引き替え。事前にWebで予約購入したきっぷを引き替え。
てっきり売り場は長蛇の列と思いきや、電車で来た人は僅かで殆どが団体客で拍子抜け。
改札口は確かに長蛇の列で、乗車列車予約制なのも当然の並び具合。日曜とはいえ、これで紅葉前。しかもWebでは空席の多い便を狙っているにもかかわらずケーブルカーは満員。辛うじて立ち席にならなかったものの、輸送力は土休日は慢性的に不足しているんじゃなかろうかと思うほど。
車内は当然満員。見れば周囲ぐるりと阪急交通社のバッチをした人に囲まれている。先のロビーの混雑ぶりを見るに、次の便は別の団体が乗ってくるのだろう。
ケーブルカーが動き出すと、立山駅の屋根が見え、次いで富山地鉄の線路がミニチュアの如く、そして遙かに富山平野が見えてくる。車内アナウンスによれば右手や左手に色々見えているらしいのだが、人々の隙間からかすかにそれらしき景色をかいま見るだけだ。
ケーブルカーを降りるとバスの改札から長蛇の列。バスまでは時間があるし、切符は通しで買っている。次のケーブルカーまでは時間があり、今更最後尾に並んでもこれ以上列はのびようもない。
それならば、展望台に登ろうと決めていた。
行列を尻目に駅舎内の階段を上がると誰もいない。ドアを開けると山々の向こうに富山平野がどーんと広がり、海まで見える。
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「すごい、凄い!」
思わず声がついて出る。感動的な光景だった。
バスまで時間があるとはいえ、そんなにゆっくりはしていられない。写真を何枚か撮ってきびすを返す。
駅の外に出て駅舎の写真もぱちり。
バス乗り場に戻り、列の最後尾に並ぶと、9時のバスの改札が始まっていた。丁度良いなと思っていたら、自分の前のあたりで列が切られる。ふむふむ続行便に乗ることになるとすると、これは窓際に座れる位置だとほくそ笑んでいると、改札の札がかけかえられ、一本後の便の札になってしまった。
しまった、こんな事になるのなら、ケーブルカーの写真を撮らずに真っ先にバス改札まで行くんだった!と思うも後の祭り。乗りたかったバスは満員で出発。
幸いフリーWi-Fiが設備されているので列に並んでいても暇つぶしには事欠かないのはとても助かる。
しばらく待っていると改札が再開。どうやら続行便が出るらしい。3~40分待ちを覚悟したが、杞憂にすんだようでほっとする。
列前方であったので無事に窓際を確保。後々分かったのだが左側の窓の方が眺めがよい時間が長そうだ。
バス内はちょっと暑く、むっとした空気。この便も満員で出発した。窓を開けて外の新鮮な空気に浸る。空気は涼しいが日差しがあり、とても心地がよい。
白樺林を抜け、やがてバスは展望のよい道を進んでいく。カーブの向こうに先ほど見えた富山平野が見える。
次第にそれは小さくなっていき、気がつけば背の高い木々は無くなり低木と高山植物に取ってかわる。
山肌には雪。訪れたのは9月上旬の事。あの暑かった8月前半の天候も、ここでは無縁だったのだろう。あの雪は8月を乗り切ったのである。
沿道にはぽつぽつと高山植物が淡い花を咲かせ、無数の池が低地では見られない不思議な景色を形作っている。
やがて、前方に大きな大きなビルが見えてくると室堂だ。
人工物がまるで無かった高山地帯に威風堂々と立っている。
バスを降りると、どこにこんなに人がいたのかと言うほどごった返しており驚くほど。
人だらけの階段を上り、屋外に出ると鮮烈な山の空気が肌を刺す。
最初はバスの中で暖まっていた体も徐々に冷えていき、たまらず登山用の上着を羽織る。
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美しい湖の向こうには温泉の湯気。気にはなったがメインの黒部ダムの時間が確保できなくなると困るので、湖を眺めるだけで引き返す。歩道の横には高山植物が咲き乱れているが、登山者が踏み荒らした自然を回復させているとの由。
室堂駅に戻ると、丁度トロリーバスが出発する時間であった。改札締め切り前であったのでそのまま乗せてもらう。
程なくして出発。出発したときの音で分かったのだが、なんとVVVFのトロリーバスであった。
トロリーバスは人生初の乗車。てっきりレトロなものをイメージしていたら拍子抜けである。
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滑車付きだと思っていたトロリーシューも摺り板付きの最新式。色々とカルチャーショックを受けた。
幸いトロリーバスは運転席の後ろの席が空いていたので隙間から前面が展望できる。
トンネルはぐるりと弧を描いており側線というか、側道のトンネルがある。それらを横に眺めながらモーター音を響かせて疾走するバス。どこかで見た光景に似ていると思ったら、そうだ。ディズニーランドのスターツアーズ(改装前)ではないか。なんとも近未来を感じさせる乗り物だ。
トンネルは単線トンネルで途中に交換所がある。バスは何台も続行しており、交換所の有効長一杯に停車して交換。どうやら輸送力を最大限確保しているようだ。
さて、ここからロープウエー。二本が行ったり来たりしているのであまり輸送力はない。どこもかしこも輸送力の小さな交通機関ばかりなのだが、一カ所だけ輸送力を強化すると破綻するので、全体のバランスを優先させているのだろう。
トンネルだけのトロリーバスから一転して非常に眺めの良いロープウエーで空中散歩。
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とはいえ、相変わらずの満員ぶりである。眼下に小さく見えた黒部湖が次第に大きくなってゆき、気がつけば終点。
ロープウエーの楽しい旅を終えると今度はケーブルカー。
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区間トンネルという黒部ならではのケーブルカーだ。車両はなんとも古めかしいタイプで見ているだけでワクワクする。
ケーブルカーの先頭に陣取ると出発直前にヘッドライトが点灯。照らし出されたトンネルのなんと格好良いことか。
ただし、トンネル内は暗く、カメラを構えてもどうにも写らない。上手く撮れぬともがいているうちに終点についてしまった。終点のレールの突き当たりに行燈型の電照看板が置かれていて「定期」「臨時」と書いてあるのが珍しい。

そして降りた黒部湖。時代がかったトンネルを抜けると、ダムの堰堤の上だ。
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観光放水で轟音を立てて水が放たれている。後から知ったことだが下流の河床を削らないように霧状にして放水しているのだそうだ。堰堤の縁から放水しているところを見ようと近づくと、途端に冷たい風を浴びることになる。そして水しぶきというか、霧の様に細かくなった水の粒が感じられる。霧になっているのだから当然虹も出る。
ここに来る前はさぞや迫力あるのだろう程度に思っていた。だが、実際に見たらどうだ。想像を超えたスケールの大きさと、貯水池側と下流側の間に温度差があり、上昇気流まで生じている事に予想を上回る衝撃を受けた。
折しも、湖畔では特別展示をやっており、そこの見学、レストハウスでの食事、展望台の往復とやっているうちに、あっという間に持ち時間を使い尽くした。同時に体力も使い尽くしており、階段の往復で足が棒。
黒部湖に着いた時点では、しまった、途中でもう少し観光してきても良かったと時間配分ミスを悔やんだが、黒部湖遊覧船に乗る時間が捻出できなくなるくらい、夢中になっていた。
帰りは長野県側へトロリーバスで移動。このトロリーバスも新しい。VVVF音がバスから出るのを見ると、新型EVの様で近未来の趣がある。
終点からはバス。
信濃大町で地元の友人夫婦が歓迎してくれ、鳥料理に舌鼓を打ったのだが、それは別の項に譲りたい。

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