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2015年10月11日 - 2015年10月17日

2015年10月11日 (日)

南部縦貫鉄道体験乗車記

クラッチが機械式の気動車は全廃されてしまい、日本では乗れなくなってしまった。
先日、最後の気動車が協調運転で走ったそうだが、その情報を得るのが遅く乗らずじまいだった。
ところが、保存鉄道という形で遂に乗ることが出来た。憧れの南部縦貫鉄道である。
朝一番の新幹線に乗れば日帰りも可能なのだが、片道600kmを越えるのに日帰りとはもったいないので前日から東北に行く事にした。(前日のBRT乗車の話は別の日記に譲る)

当日はGWなので有名旅行サイトで取れるホテルは全滅である。あっても高級宿ぐらいであり話にならぬ。どうしたものかと思案に暮れて、googleマップで駅前を拡大してみたら、あった。Webで予約受付をしていない地元向け温泉宿が。
電話をしたら素泊まりバストイレなしの部屋なら複数空いているという。全室禁煙というのもありがたい。耳栓を鞄に突っ込んで宿へ向かった。
さて翌朝。食堂の明かりが消えていることから、素泊まりしか受け付けてくれなかった理由がなんとなく分かる。GWだから食堂の人が休みでいないのだろう。

会場までのバスは時間帯が悪く、徒歩となる。朝風呂を浴びて出発だ。
少し歩くと旧道と新道の分かれ目となる。歩きやすそうなのは新道だが、昔からの建物があるのは旧道だろうとあたりをつけて旧道へ。しかし、これが大変であった。途中で歩道が消えるのである。(後に新道も変わらないことが分かる)歩いて移動するなと言わんばかりだ。とはいえ、たどり着けないのも困るので路側をしぶしぶと歩く。途中に十和田観光鉄道のバス営業所。帰りのバスは出ているかと見ると、10:38発とある。体験乗車は10時開始だから、これに間に合えば帰りに三陸鉄道と盛岡バスセンターの見物ができると算段を付ける。
旧七戸駅には40分程度かかった。なるほど案内の通りだ。

南部縦貫鉄道改め「南部縦貫」の本社社屋として今でも健在な七戸駅本屋の前には列が出来ている。定刻に駅の扉が開いて体験乗車に必要な会員証を購入。乗り放題500円は安い。鉄道として営業していないので、一日会員になってもらい法令をクリアするのが狙いだとか。路線営業していない高速ツアーバスも同じ手法をとってましたね。もっとも、うちの見立てではA駅からB駅までを結ぶのではなく、A駅から途中下車できずにA駅に戻ってくるのは遊園地の遊戯物と同じ扱いになるのではないかと思う。

エンジン始動、出庫を見届け、保存会と町長の挨拶が終わるといよいよ乗車開始。なるほどレールバスなだけあって小振りな車体だ。シートもすり切れる所があり、頑張って持たせているのが分かる。穴が開いても替えが無かろうから維持するのは大変だ。

Cimg0763

列先頭付近だったので運転の様子が分かる席に着席。昔のバスみたいに長いシフトレバーが床からのびていて、これでギアチェンジをするらしい。後で見たら床にはクラッチペダルもついていた。
ドアは車掌が手動で開閉、座席定員25名でつり革はあるけれど定員着座で出発。
ちゃんと車掌が構内無線で転てつ手と連絡を取りつつ出発合図を出しているのが興味深い。そういえばさっき運転台にタブレット(全線1閉塞なのだからスタフか?」を運転台に置いてたっけ。

うちが乗ったのは体験乗車の1列車目であったので、来賓の町長が出発合図を行い、それを車掌が車内ブザーにより運転士に出発合図として伝えていた。
レールバスは頻繁にギアチェンジを繰り返して構内を快走。ホームのある2番線から出発し、分岐器を越え、廃線後に出来た国道(新道)が見えてくるとブレーキ扱い。車掌から駅、転てつ手と無線連絡が飛び(今になって気づいたがちゃんと鉄道の指揮系統を守っていた気がする)分岐器が転換される。本線上で折り返し、車庫線へと折り返しだ。
この時の運転士を見ていたら、なんとシフトレバーを抜き取ってブレーキハンドル共々持って行ってしまった。
なるほど確かに保安上もこの方がよい。合理的に出来ている物だと感心する。

車庫線を走った後は再び折り返しを繰り返して元のホームへ。都合4回の加速を体験したわけで、貴重な機械式変速は実に楽しかった。短尺レールであることも手伝って、なるほど確かに町長の挨拶通り車内での走行音は大きい。レールは短尺だし、二軸車だから速度を上げると五月蠅かろう。
走行時間は5分程度だったろうか。これに乗降時間などが加わり、1回転10分から15分といったところ。小さな車両から降りるのも名残惜しいくらいだ。どれくらい小さいかというと、降りるとき注意せねば出口に頭をぶつけるほど小さいのだ。

第二便、三便が走る様をカメラに収めていると、保存会の人へテレビや新聞社の取材が始まった。一度宣伝に力を入れたら乗車列が伸びすぎた為、自分たちでコントロールできる限度を超えると判断して宣伝は地元のみに留めているそうだ。
確かに、宣伝すればレールバスの集客力はまだまだありそうだ。しかし、自分たちで運営できる適正な範囲の規模に留めるという判断こそ、勇気と決断が必要であり、正しい判断であると言える。

保存資金調達のための物販コーナーでは様々なグッズを展開している。昔の切符セットが売られていたので購入すると硬券のおまけをつけてくれた。保存会の人に廃線跡のルートを聞くと、遺構は殆ど無いが廃線敷を歩く人も最近では多いらしい。山菜採りに行く時に使う人もいるのだが、歩きやすいので熊も通るとか。

さて、バスの時間である。ギリギリになったので間に合わぬと走ったのだが、バス停に着くと先客が待ちぼうけをしている。バスは一向に来ず、5分遅れてきた。しかもこのバス、七戸十和田駅を経由しない便で、最寄りバス停から駅までは若干の距離がある。新幹線までギリギリだと思いながら乗っていたら、下車するバス停を目前にして渋滞。結局、駅の階段まで残り数十メーターの地点で、新幹線のブレーキ音を聞き、間に合わぬと断念するハメになった。
新幹線は二時間に一本。どうする。とりあえずひと心地着こうと駅構内のカフェへ。
しかる後に観光センターを覗いてみると、なんと電動自転車の無料貸し出しをしているではないか。
しまった。調査不足だった。最初からこれを借りていればあんな苦労など無かったのだ。
これ幸いと自転車を借り受け、廃線跡探訪に出ることにする。

七戸駅構内の端で線路をぶった切る国道から駅を望むと、レールバスがお昼休みで留置されているのが見えた。軌道敷が続いているはずの道の反対側は建物を建てている真っ最中で、痕跡が早速消えている。
川を渡るところには橋脚があるやもと川沿いの道を走ってみると、不自然な上り坂を発見。もしやと思ってみると大当たりで、七戸駅の方からゆるいカーブがやってきて道と直行している。川を越すために一段高くなっている線路と踏切を作るために、道路まで上り坂だったのだ。踏切の痕跡はないが、使われていない鉄道用電信柱の木柱が残っているのでそれとわかる。川に向かってはコンクリの橋脚が伸びていた。
対岸にも軌道敷は続き、注意してみると自然に帰りつつある枕木など、様々な名残がある。そのままたどれると良いのだが藪になっていたので軌道敷をたどるのは断念。時間も無いので駅に戻って自転車を返却する。3時間あれば駅から軌道敷はたどれるのではないだろうか。

この後は全線開通1年を過ぎた三陸鉄道を訪問するのだが、それは別の項にて。

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