二周目第52話 「クチナシより愛をこめて」
第52話 「クチナシより愛をこめて」
錯乱坊の追走劇が印象深いこの回、冒頭から凄いんです。
まず、日常の描写として描かれているはずのシーン、軒並みアングルがアオリだったり斜め下からカメラが回り込むように動いたり、やたら凝っているというか、無駄に凝っている。
ここが見せ場だから集中して描くのではなく、Aパートの同一原画のシーンは軒並みこれ。作画監督が遠藤さんだから絵柄も整ってるし、無駄に原画家のパワーが余っているうる星のエネルギーというのを感じさせられます。
サンデーグラフィックに出てくる「顔に足跡を付けた錯乱坊の口から写真が出てくる」のもこの回です。
冒頭、あたるはジャリテンの追跡に気づき、曲がり角で姿をくらませたかと思えば、なんと木の枝に体を横たえ、上からジャリテンをつまみ上げるという超人技を繰り広げます。そのまま地面にスタッと降り立つところを見ても、今作のあたるはスーパーマンです。
しかし、それを上回ったのが錯乱坊。ぼけやで花を買った後に錯乱坊の追跡をあたるとテンはダッシュでかわそうとするも、錯乱坊は大ジャンプの果てに空中宙返りをしてあたるの前に華麗に着地。すごい身体能力です。
今作では錯乱坊が入れ歯であるという描写までなされまし、あたるの父が盆栽を育てているという描写まで行われ、なんともオリジナル設定てんこ盛りです。
あたるがクチナシに水をあげるべくホースを持ってくるところの描写も凄い。え、そうやってくるの?と思わせる入り方だし、ものすごいたこ足配線で温風を浴びせまくるところも愉快。
Bパートではジャリテン、鬼星の温室でクチナシを育てますが、それを見守るあたるの両親がいつになく仲の良いところをアピール。緒方さんのアドリブと思しき「あたるも八卦」という言葉まで出てきます。(脈絡無いのに、言いたかったんだろうなあ)
Bパートの追走劇、高速感を出すべく錯乱坊の頭に背景を入れた線が描かれます。その後のメガネが追いかけてくるところもアングルが凝ってる凝ってる。背景動画はビシッと使うし、脚のアップのシーンは特徴的で一発で山下原画と分かるところ。
動きが楽しい、動かし方が楽しいというアニメうる星の原画マンの房総が生み出した面白さを存分に堪能できる会です。
本来冗長になるはずの移動シーンが、この動かし方故に一大エンターテインメントに変貌してしまう。
ぼけやのお姉さんとのやり取りが決め手になる今作が、かなりの部分を追走劇の印象に持って行かれてしまうほど。
しかし、最後までぼけやのお姉さんはある種超人でありました。
ラストシーンではクチナシがラムちゃんを蔓で縛ってモーションかけているんだけど、ちゃんとあたるは助けに行かなきゃ!と思いながら見ているうちに幕を閉じるのでした。

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